こんにちは。東京・渋谷のはずれ、静かな住宅街の中にある小さな活版印刷とリソグラフのスタジオ「富ヶ谷レタープレス」です。このブログでは、私たちが大切にしている活版印刷の魅力や、スタジオで生まれる作品に込めた思いなどを、少しずつお伝えしていきたいと思います。
富ヶ谷と黒磯で
私たちのスタジオは、東京都渋谷区にある富ヶ谷スタジオと、栃木県那須塩原市本町にある黒磯スタジオの2つ。富ヶ谷という地区は、小田急電鉄が走る小田急線の代々木八幡駅と、地下鉄千代田線の代々木公園駅が周辺の主な駅で、渋谷や原宿の喧騒から少し離れた場所にありつつも、どこか小さな村のような雰囲気のある街です。
また、富ヶ谷の隣には上原仲通り商店街や、東京大学駒場キャンパスなどがあり、中心街とは違った東京の活気が感じられるスポットです。
- カフェ富ヶ谷本店。日当たりもよく、テラス席有り -
黒磯のスタジオも、観光エリアから少し外れた静かな通りにあります。昔は「黒磯市」だったエリアが、後に那須塩原市に統合され、「黒磯」という名前が現在に残っている地域。駅周辺は新しい施設やおしゃれな飲食店、雑貨店などがありますが、古い街並みや建物もいまだに多く残っており、歩きながら回るスポットにもなっています。
ふらりと散歩の途中に立ち寄ってくださる方もいれば、遠方からわざわざ訪ねてくださる方もいます。どちらも小さなスタジオですが、この場所からお届けするものが手に取った方に「いいな」と思っていただけるように。そして「活版って古いだけじゃないんだ」と感じてもらえるように。そんな思いを持って、私たちは日々活字と向き合っています。
- 黒磯ショップ&スタジオ2階 -
古い活字と活版印刷
活版印刷はひとつひとつ活字を拾い、手で組み合わせて版を作り、機械に1枚ずつ紙を手で送り、圧をかけて紙に刷るという、とてもアナログな技法です。時間も手間もかかりますが、印刷した紙面の凹凸は、目で見るだけでなく指先でも感じられる特別なもの。デジタルでは決して再現できません。
私たちが使う活字の多くは1940~70年代に実際に使われていたものです。そこに刻まれた小さな傷や凹みから生まれる「かすれ」や「欠け」。活版ならではの「手ざわり」や「にじみ」など、それらは他の印刷では表せない唯一の表情を見せてくれます。だからこそ、一枚のカードであっても、触れたときに心に残るような体験があるのでしょう。
- 富ヶ谷スタジオの活字棚には多くの書体が収納されています -
富ヶ谷レタープレスの「活版デザイン」
私たちが大切にしているのは、クラシックな技法をモダンに表現すること。ミニマルなタイポグラフィや大胆な余白、幾何学的なパターンなど、現代的なデザインと活版の質感を掛け合わせることで、単なるノスタルジアではない新しいデザインを形にすることを目指しています。
「活版は昔のもの」というイメージを持たれる方も多いかもしれません。けれど、デザインとの組み合わせ次第で、デジタルにはない新しい表現の可能性が広がるのではないでしょうか。
- 活版印刷で仕上がった商品の表面 -
このブログを始めた理由
ありがたいことに、お店のお客様や工房にお越しいただいた方々などに、「どうやって刷っているんですか?」、「どんな紙が合うんですか?」、「インクはどれくらい使うんですか?」といったご質問をいただく機会が増え、商品やブランドを通じて活版印刷にご興味を寄せてくださる方が増えました。
せっかくなので、そうしたことも少しずつ書き留めていこうと思い、このブログを始めました。印刷や道具のことに加え、時には近所の話やおすすめのコーヒー屋さんなど、スタジオがある地域のことも書けていけたらとおもいます。
- 富ヶ谷スタジオ地下、印刷機まわりの作業台 -
最後に
初めての投稿を最後まで読んでいただきありがとうございました。これからこのブログで商品のことや活版技術のこと、日々のことなど、無理なく続けていけたらと思っています。みなさまに気軽に読んでいただけたら嬉しいです。
どうぞよろしくお願いいたします。
-
0件のコメント